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連載

Book Reviewing Globe 連載 311

市場ルールと企業倫理の崩落

2010年4月号

 一九九〇年代から急速な勢いで世界を覆ったグローバリゼーションは、今回の世界経済危機によって終わったのか。
 かつて『グローバリゼーションの終焉』を著し、議論を呼んだ著者によるリーマン・ショック後の「ニュー・ノーマル」世界への深い洞察をたたえた本である。
 グローバリゼーションの問題は、世界がそれを十分に理解していなかったことである。
 まず、グローバリゼーションが本来、宿している不安定性に対する理解が不十分だった。
 次に、グローバリゼーションは、モノ、カネ、サービス、人の国際的な移動にとどまらず、アイデアの移動と技術の移転を伴い、それによって人々の嗜好を変える。
 そして、グローバリゼーションはとりわけ金融危機にもろい。それが起こった場合、なかでも価値観の急激な変化をもたらす。
 それから、グローバリゼーションの不安定性と挫折が起こると、人々は過去の危機を参考にしようとし、歴史家はにわかに予言者となる。
 それがいままさに起こっている。
 経済史家のニーアル・ファーガソンがもてはやされる時代である。かく・・・