「武器輸出三原則」のナンセンス
国内防衛産業を根絶やしにしてもよいのか
2010年4月号
非核三原則をめぐる論議の陰でもうひとつの三原則、すなわち武器輸出三原則の見直しを求める声がにわかに勢いづいている。
きっかけは一月の北澤俊美防衛相の発言。防衛産業の業界団体、日本防衛装備工業会の会合で武器輸出三原則を見直していくべきと述べた。輸出の解禁を悲願とする工業会へのリップサービスとみる向きもあるが、三年前にも当時の久間章生防衛相が同様の発言を行っており、「事情を知る者」ゆえの切羽詰まった本音という側面もありそうだ。
実は武器輸出三原則をめぐる実態は三原則という呼称からはだいぶずれが生じている。
防衛装備が調達できなくなる
一九六七年、当時の佐藤栄作首相は①共産圏②国連決議に基づく禁輸対象国③紛争当事国およびそのおそれのある国、には武器は輸出しないという決算委答弁を行った。その後七六年に三木武夫首相が予算委で三原則以外の地域についても輸出を慎むと表明し、以後米国との弾道ミサイル防衛(BMD)の共同開発など一部の例外を除き、武器と軍事技術の事実上の全面禁輸が政府の・・・