本を殺すのは「劣化」編集者か
「型破り」嫌う経営者にも問題あり
2010年4月号
「編集者が劣化した」
こう断じたのは大宅賞作家でジャーナリストの佐野眞一だ。
出版不況が長期化、書籍は売れず、老舗雑誌の廃刊も相次いでいる原因を編集者の質の低下に求める声は確実にある。
編集者は裏方の存在だが、かつては時代時代に名物編集者が存在した。雑誌の世界では言うに及ばず、書籍の世界でもベストセラーや文学賞作品、人気作家の背後には優秀な編集者がつき、その影響力、存在を誇示していた。
そんな編集者は場所を変えこそすれ、今もって「ご健在」であるケースが多い。つまり、新しい名物編集者が出てこなくなったのだ。昨今、「編集者の存在感が薄れてきている」(フリーライター)との指摘もある。
本当に編集者は劣化したのだろうか。劣化しているとすれば、そうさせたのはなんなのか。当然、「編集者個人の問題」という正論は出るだろう。しかしそれはひとまず措く。出版業界全体で起きている「編集者の劣化」なのであれば、環境要因が当然あるはずだ。
「賠償金高額化」も足引っぱる
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