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伊藤忠の小売業への相次ぐ出資 狙いは中国進出の道連れか
2010年4月号公開
伊藤忠商事が小売りの再編を図っている。小売り分野では三菱商事、三井物産に出遅れた格好の伊藤忠。中部地区のユニー、関西のイズミヤと組んで小売り第三勢力を目指しているが、これに関係の深いレナウン、近鉄百貨店などの他業態も合流して大規模な国内再編に踏み出すという見方も浮上している。
ただ、資本提携の狙いは別にあるとの見方もある。中国市場の深耕を図って伊藤忠は中国最大の食料企業や流通大手、日用品卸大手などと資本提携を重ねており、日本の小売りの進出を待つだけの状況。巨大市場への進出を考えながらも、そのリスクの高さで二の足を踏んでいたユニーなどの小売りが、こうした伊藤忠の姿勢に押し出されるように進出を相次いで決めている。出資によって各社に圧力を加えることが狙いだ。
「伊藤忠というのは昔から暴走する傾向がある。バブルの傷も一番深かったし、ここ数年も成長路線の陰で産地偽装、個人情報流出、架空取引など、掃いて捨てるほどの不祥事を起こしている。堅実経営のユニーが伊藤忠の暴走に巻き込まれるのではないか」(業界紙記者)という声もあって、ただの駒にならねばいいがとの懸念も業界には広がっている。そうした狙いがある以上、今後の伊藤忠による各社の株買い増しの可能性も高い。
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