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日航再建に群がる稲盛人脈 金融機関らが商機獲得に躍起
2010年4月号公開
稲盛和夫氏が日航会長就任に際し、「京セラ人脈」を最大限活用する方針のもと、腹心を引き込み、実動部隊として京セラ出身者が日航再建を支援することになったことで、京セラの取引先も「日航ビジネス」の拡大を虎視眈々と狙っている。
その筆頭が金融機関だ。三菱東京UFJ銀行は、旧三和銀行が京セラの主力行だった縁もあり、三メガバンクのうち、稲盛氏の会長就任を最も歓迎している。債権放棄では痛い目を見ただけに、「国策救済で日航が見事再建した暁には、融資面のみならず稲盛さんの手厚い配慮を引き出せるのでは」(三菱UFJ関係者)と期待する。京セラの幹事証券の大和証券も、「稲盛さんを通じて日航に食い込むチャンスだ」(関係者)と鼻息が荒い。
稲盛氏については最近、日航社内でも評判が芳しくない。先ごろ回顧録『挑戦者』が発刊されたが、中堅幹部によると「全社管理職五千人にあてて、この本の自費での購入を促すメールが来た」という。一月に会社更生法適用を申請した日航では管理職の早期退職勧奨も始まっている。「こんな状況で、よくも自著を買えなどといえるな、とみな憤慨している」(同幹部)という。
日航が公私ともに京セラ・稲盛人脈の食い物にされかねない状況だ。
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