「アジア」に靡く欧米ヘッジファンド
日本はここでも「蚊帳の外」
2010年4月号
世界のヘッジファンド業界に、以前と同じ活況が戻ってきた。昨年三月に日米の株式相場が底を打つのと同じくして解約も止まり、それまで続いていた資金流出もネットで流入増に転じた。当初、半減するのではとみられていたヘッジファンドも運用資産残高でみると、ピーク時の二兆ドル弱から三五%前後の減少で済んだ。そして直近の一年は、米国を中心に年金などの機関投資家のマネーが舞い戻って来ている。
リーマン・ショックがあった二〇〇八年のヘッジファンド全体のリターンはマイナス二〇%弱だったが、〇九年は逆にプラス二〇%のリターンとなった。ただし、これで純資産価格(NAV)が回復したわけではない。二〇%下落したものが元に戻るには二五%の上昇が必要だからである。
当然ながら今回の金融危機で大儲けし、脚光を浴びたファンドもある。クレジット・デフォールト・スワップ(CDS)を利用してクレジットをいち早くショート(売り持ち)したジョン・ポールソンのファンドである。それによって〇八年に大勝した後、米政府の資金が大手行に投入された時点で米銀行株をロング(買い持ち)し、さらに昨年後半にはインフレ懸念・・・