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政治

日本の安全保障は「風前の灯」

「防衛計画改定」で露呈した鳩山内閣の亡国ぶり

2010年4月号

 かつて、人命は地球より重いと言った宰相がいた。今、同じ虚構を振りかざし、国民の安全を脅かす指導者がいる。ほかならぬ、鳩山由紀夫総理大臣だ。
 安全保障とは、極論すれば、敵と味方の峻別だと言われる。鳩山が掲げる「価値観の異なる国と国が認め合う」友愛外交は、敵と味方の区別をつけない。理想として語る分にはいいが、どうも、それを本気で現実政治に落とし込もうとしているあたりが、危うい。
 三月九日、首相公邸で、「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」のメンバーと鳩山による夕食会が約一時間三十分にわたって開かれた。懇談会の目的は、政権交代に伴って一年先送りされた防衛計画の大綱の改定に向けた安全保障政策の指針のとりまとめだが、この夕食会の冒頭に放った鳩山の一言が安全保障の専門家たちを驚かせ、落胆させた。
「ただの一人の命も失わせない安全保障政策をお願いします」
 一万人の命を救うために一人の命を犠牲にする、そんな冷徹な判断が安全保障には求められる。いったい、「一人の命も」とは、日本人の命のことなのか、それとも、同盟国や敵国も含めてのことなのか。友・・・