《政界スキャン》
様変わりした「新党づくり」
2010年4月号
政治が荒れると、決まって新党の動きがでてくる。既成の政党への絶望感が広がり、新党旗揚げの衝動に駆られるからだ。
昔もいまも変わりがない。だが、新党へのアプローチの仕方がまるで違ってきた。これは何を意味するのだろうか。
三月十五日に自民党を離党し新党結成を宣言した鳩山邦夫元総務相は、離党の直前、
「すべては水面下でやっていることだから」
と民放テレビに出演して語ったが、実際は水面上も同然で、鳩山は昨年夏の衆院選前から半年以上、折に触れて新党論をぶってきた。
新党準備は極秘に、というかつての常識は過去のものになっている。極秘にやらなければ、必ずつぶされる、とみていたからで、それほど新党問題には政界全体が神経質だった。いまは様変わりである。
前衆院議長の河野洋平らが一九七六年六月二十五日、突然新自由クラブ結成を発表した時は、政界も世間もあっと驚いた。関係者以外はだれも知らなかったからだ。ロッキード事件が発覚し、田中角栄元首相が逮捕される(同年七月二十七日)直前の決起である。{b・・・