「原子力覇権」目指すプーチン
世界シェア25%を目論む
2010年4月号
「今後二十年間で、原子炉二十六基の建設を目指す」
三月中旬、ロシア南部の原発建設現場を視察したプーチン首相が声高に宣言した。旧ソ連時代には、五十年間で三十基しか建設されておらず、かなり野心的な計画だ。プーチンが目指すのはロシアによる原子力覇権であり、それには核拡散懸念がつきまとうことになる。
ロシアは、一九八六年のチェルノブイリ原発事故以来、凍結していた原発建設を再開し、現在、十基の建設を進めている。財政難にもかかわらず、政府は原発建設に巨費を投じ、国策原子力会社ロスアトムにも五年間にわたり特別融資を行うことを決めている。
プーチンはこうも語った。
「ロシアは世界の原発市場の二五%以上を獲得する」
現在、地球温暖化対策や電力需要の増大から、世界各地で広がる「原子力ルネッサンス(回帰)」のなかで原発導入の動きが世界中で加速している。
隠し玉「海上浮揚型原発」
ロシアの原子力産業の経済規模は明らかになっていない。「軍需産業と一体化しているこ・・・