三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

日伯連携「アフリカ開発」の行方

欧米との熾烈な穀物覇権争いに参入

2010年4月号

 一昨年のリーマン・ショック以降、米国の「一極支配」は衰えをみせ、食料安全保障の分野でも「世界のパン籠」としての米国の求心力低下が著しい。リーマン・ショックとその後の世界的な景気の悪化で、穀物相場はとりあえず反落しているが、「中長期的にみれば食料不足になる」(国連食糧農業機関)との見方が支配的だ。特に飢餓人口が集中する「サブサハラ」と呼ばれる赤道を挟んだアフリカでの食糧増産が課題になっている。
 そのサブサハラにおいて、「アフリカを大豆供給源の第三極に」という構想のもと、日本がブラジルと手を組む「日伯連携モザンビーク農業開発支援構想」という壮大な計画が浮上している。日本とブラジルには三十年来の農業開発の歴史がある。日本の大豆生産技術をブラジルの熱帯地域に広がるセラード(熱帯サバンナ)に移植し、ブラジルを世界第二位の大豆生産国に押し上げた成功体験があり、それを次はアフリカで展開しようというものだ。二年前の食糧危機を契機に、世界最大の穀物輸入国である日本が、「食料安全保障」の確保を目的に掲げた野心的なプロジェクトであり、昨年七月に政府間で合意された。
 三月十一日・・・