パナソニック環境事業の本気度
復権のカギ握る燃料電池最新事情
2010年3月号
海外市場で連戦連敗を続ける日本の電機産業だが、これを小さな反撃ののろしと見るのは早計だろうか。
去る二月某日、琵琶湖を背にした素朴な田舎町にあるパナソニック草津工場(滋賀県草津市野路)では、研究開発に十年を費やしてきた戦略事業「燃料電池」の新量産体制が整った。新年度の出荷分にタイミングを合わせ、将来の低価格化を実現するための量産体制であり、構造的な見直しなどにより、材料コスト・製造コストの二割削減に成功し、生産能力は年産五千台に引き上げた。将来的には二〇二〇年度に年産百万台、価格は数十万円まで引き下げる計画だが、今回の量産体制はその第一歩となる。
正月恒例の経営方針発表会で、創業百周年の一八年度には太陽電池や二次電池などの環境エネルギー関連で三兆円以上を売り上げる「環境革新企業」構想を打ち出した同社。一人勝ちの韓国サムスン電子に土をつけたいという思惑も見え隠れする次世代戦略だ。これまで得意としてきたAVネットワーク分野から環境事業に大きく舵を切り、「企業の顔を変える」とも表現される大胆なポートフォリオの改編に挑戦していく。
そして量産体制が整・・・