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経済

「無策」日銀総裁に退任の勧め

「東大経」卒を就けたのがそもそもの間違い

2010年3月号

「企業の資金繰りは中小企業を中心になお厳しいとする先が多いものの、改善の動きが続いている。このため、わが国の景気は持ち直しを続けるが、当面そのペースは緩やかなものに止まると考えられる」
 日本銀行はさる一月、東京・日本橋の本店で全国各地の経済情勢を報告し合う支店長会議を開き、その席上で白川方明総裁はこう言い切った。昨年初めに断行した企業のコマーシャルペーパー(CP)買い取りを筆頭に、リーマン・ショック以降、確かに多くの「禁じ手」を使ってきた日銀だが、景気は本当に上向いているのだろうか? きっと、否定的な見解を示す向きが多いに違いない。

行内人事にも「無関心」


 実は今、日銀とそのトップに対する「批判」が、身内ともいえる霞が関の財務官僚たちからも強まっている。旧大蔵省出身の幹部は言う。「短観(全国企業短期経済観測調査)など四千のアンケート先を調査対象にしているが、選定先が資金繰りの比較的いい所に偏っていると言わざるを得ない。二〇〇九年の倒産件数が一万五千四百八十件と中小企業の資金的改善は・・・