新生とあおぞら「破談」の深層
「システム問題」が命取りに
2010年3月号
やはり、無理だったのである。新生銀行、あおぞら銀行の合併問題は、本誌が指摘してきた通り、破談の展開となりつつある。一部の全国紙もようやく、その可能性の高さを報じ始めた。両行は公式コメントで破談の事実を否定したが、もはや、両行の間の溝は「埋めきれないほどに深まっている」(関係筋)という。両行の背後で合併を強力に後押ししてきた金融庁も半ば、さじを投げた格好だ。とはいえ、今回の出来事は単なる合併の白紙化ではすまない。新生銀行の基幹系システムの不透明さという、隠された深刻な問題が存在しているからだ。
担当者さえチェックできない
いまや、装置産業とすら言われる銀行にとって、基幹系システムはその心臓部といっても過言ではない。そのために、銀行は莫大な開発費用と多くの人材を張り付け、厳格なシステム監査を通じてシステムトラブル発生の可能性を最小限に抑える努力を費やしている。
そんな重要な経営インフラを巡って、新生銀行は発足当初、大きな話題を呼んでいた。他の銀行と比べると、比較にならないほど軽量なシ・・・