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経済

《企業研究》セブン&アイHD

瓦解する「鈴木王朝」

2010年3月号

「過ちは好むところにあり」―。
 これは今、国内流通業界の勝ち組とされてきたセブン&アイ・ホールディングス(HD)で進む綻びを、もっとも端的に表している言葉ではなかろうか。同社は最大の戦略事業分野、しかも、これまで同社が競合他社に圧倒的な優位性を発揮してきたIT・サービス事業において味噌を付けた。
 珍事の舞台となったのはセブン&アイHDが「流通クラウドポータル構想の第一歩」という大仰な位置付けを持たせていた、ネット通販子会社のセブンネットショッピングだった。
 セブン&アイHDは二〇〇九年九月、書籍、CDソフトなどのネット通販事業のセブンアンドワイに、イトーヨーカ堂が運営する食品のネット通販事業であるイトーヨーカドー ネットスーパーなどを統合し、ネット通販事業をグループとして本格展開する考えを打ち出した。核となるこのセブンアンドワイは、流通業界では鈴木敏文会長兼最高経営責任者の次男・鈴木康弘氏が社長を務める会社として知られている。
 セブン&アイHDではネット事業の統合にあわせ、サービス名称と社名をセブンアンドワイからセブンネットショッピ・・・