現実味増す日本国「破綻」シナリオ
国債格付けの日中「逆転」を機に
2010年3月号
「二〇五〇年の日本に残っているのは、荒廃した東京、崩壊する高速道路、新幹線の跡など、かつて繁栄したのに針路を見失った社会の亡霊のような残像だけ」
少々旧聞に属するが昨年九月二十八日号の米バロンズ誌はトップ記事に「日本の落日」を掲載した。同誌は米国の機関投資家、個人投資家に絶大な影響力を持つ。その中で、「日本国債の債務不履行の可能性」を論じた部分である。鳩山由紀夫政権の発足後に企画されたものであろう。
このバロンズ誌の発行直後から米系ヘッジファンドの「仕掛け」が開始された。日本国債の債務不履行の保険料のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)レートが〇・四%から〇・九%へ急上昇した。市場では日本国債の格付けを織り込んだことになる。
一方スタンダード・アンド・プアーズ(S&P) 社は一月二十六日、「AAネガティブ」に日本国債の格付けを引き下げる方向で検討していると発表した。一段階下の国はというと、イスラエル、カタール、クウェート、サウジアラビア、台湾の五カ国・地域である。その理由として同社は、「政府債務残の国内総生産(GDP)比は一〇年三月末で一・・・