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政治

第三極は「小党乱立」が関の山

小沢一郎の高笑いが聞こえる

2010年3月号

 国政選挙のある年の地方選挙は、政権党にとって鬼門だ。昨年七月の東京都議選で民主党は大躍進し、そのままの勢いで総選挙に突入。空前の三百八議席を獲得し、政権交代が実現した。リクルート事件に揺れた一九八九年も都議選で敗れた自民党は、参院選でも修正がきかず敗北。当時の社会党委員長、土井たか子は「山が動いた」と勝利宣言した。
 二月二十一日の長崎県知事選は、民意の潮目が政権交代から半年も経たずして変わったことを如実に示す結果となった。長崎県は、衆参とも選挙区すべて民主党が制した「金城湯池」。報道各社の世論調査でリードされていることを知った民主党は、連合はもとより、自民党色の強い農協や建設会社をアメとムチで締め上げたが、勝てなかった。首相・鳩山由紀夫と幹事長・小沢一郎の「政治とカネ」問題に有権者は「ノー」の意思表示をしたのだ。
 かといって民意が自民党に戻ってきたわけではない。長崎県知事選で勝った保守系候補者は、「自民推薦」の看板を断り、総裁も幹事長も長崎に入ることはなかった。その前週、滋賀県長浜市長選で現職を破った「小泉チルドレン」の前自民党衆院議員も同じだ。昨年の衆・・・