《政界スキャン》
政治家の「説得力」が劣化
2010年3月号
この十年来、痛感していることの一つは、政治家が政治家を説得する時の迫力不足である。
一月、東京地検特捜部が民主党の石川知裕衆院議員(のち離党)を逮捕、取り調べた際、永田町では、
「半落ちだ」
としきりに言われた。完落ちではない。政界もそうである。半落ちどころか、不発に終わることも多いのだ。衆院選挙前の昨年七月十五日、自民党劣勢の情勢を受けて、与謝野馨財務相と石破茂農水相がともに辞表を懐に、首相官邸に乗り込む場面があった。与謝野の新著『民主党が日本経済を破壊する』(文春新書)によると、この時、二人は麻生太郎首相に、
「麻生総理、総裁のままで総選挙に突っ込むのはあまりにも危ない。ここは選手交代してから選挙をやらないといけないのではないか」
と迫った。しかし、麻生は、
「そんなこと言ったって後の総裁を一体誰がやるんだ。おれの後なんて誰もいないじゃないか」
と譲らず、聞く耳を持たない。やむなく二人は辞表を渡そうとした。しかし、ここでも麻生は、
「それだけは勘弁し・・・