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WORLD

中朝関係の「真相」

不信の「溝」は限りなく深い

2010年3月号

 今年一月初め、日本の大手メディアのほとんどは、「北朝鮮の金正日総書記近く訪中か」との観測記事を流した。一部のメディアは、「六カ国協議の再開の可能性」とも伝え、韓国メディアの多くもこれに追随していた。この報道の直後、ある中国の専門家筋は一笑に付して言った。
「現段階ではどちらもあり得ないね。金正日の訪中も六カ国協議も実現の条件がない。日韓が期待しているのは分かるが」
 この専門家筋はさらに「わが国と北朝鮮の関係は、外国人が想像するように近くはないし、むしろ敵対的といった方がいい」と付け加えた。中朝関係が険悪化、緊張が続いていた半年前なら、その通りと納得できたろう。
 それは北朝鮮が弾道ミサイル発射に続き、二回目の核実験を強行した結果だった。中国指導部が激怒し、国連安保理の北朝鮮制裁決議を積極支持。北朝鮮側も間接的表現で中国を非難し、六カ国協議からの離脱を宣言。七月にエジプトの非同盟諸国会議出席の途中、北京を訪れた北朝鮮ナンバー2の金永南最高人民会議常任委員長は、中国側とは接触もせず、エジプトで、「六カ国協議は永遠に終わった」と演説、中国を刺激した。{・・・