中国「未成熟」市場経済の正念場
「資産バブル破綻」は回避できるか
2010年3月号
「金融引き締めについては近く重大な決断をせざるを得ない。海外からのホットマネー流入が止まらない。不動産バブル崩壊だけでなくインフレの昂進も心配だ」。中国の中央銀行幹部が、二月中旬の春節(旧正月)前に北京の外交関係者に耳打ちした。
金融危機克服に向け投資拡大と金融緩和を続けてきた中国が、いつ引き締めに転ずるか世界が注視している。それが中国のみならず世界の景気や株式相場を大きく左右するからだ。
中国人民銀行(中央銀行)は表向き「積極的な財政政策と適度な金融緩和」を継続しているが、各金融機関に対しては不動産やエネルギー多消費部門、生産能力過剰業種などへの貸し出し抑制を指示している。また、二月二十五日には今年二回目の預金準備率引き上げに踏み切った。
評価高まる「北京コンセンサス」
中国における金融政策は、為替レートや金利の変動を通じた市場誘導よりも、銀行融資の「窓口規制」や預金準備率の引き上げといった行政指導が多用される。なぜならば、管理変動相場制を掲げながら、輸出の回復を図る・・・