「東」を向き始めたロシア
対日戦略に本腰入れる
2010年3月号
昨年末、密かにロシアの日本専門家がクレムリンに集められた。民主党新政権の対露政策、とくに北方領土問題に対する鳩山首相の政治姿勢を分析する会合のためだ。会合の関係者は背景を語る。
「今のロシアは、鳩山首相の一挙手一投足に注目し、日本に対する手練手管を練り上げている」
ロシア外交における日本の優先順位は当然ながら低い。対日政策を検討する会合がモスクワで開かれること自体が異例だ。
遠因は首相就任直後に、「領土問題解決の道筋を半年でつける」と鳩山氏が息巻いたことにある。二月七日に開かれた「北方領土返還要求全国大会」における鳩山首相の発言は、ロシアのメディアで大々的に報じられた。全国紙「独立新聞」は、「領土問題の解決が最も果たしたい一番大きな思い」との鳩山発言を見出しに掲げ、鳩山首相の熱意を報じた。
同大会で鳩山首相は、「二島返還という解決はあり得ない」と言明。日ソ共同宣言には調印したものの、領土問題を解決できなかった祖父一郎の悲願を、自分の手で達成したいという意思を見せた。
現在モスクワの関係者の間では、日露関係に新たな局面がく・・・