三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

タリバン「裏支援」強めるパキスタン

「軍政待望論」も渦巻く

2010年3月号

 パキスタンでは今、ザルダリ政権への不満が高まり、国民の間に「軍政待望」とも呼べる状況が生まれている。その上で統合情報部(ISI)を中心とする軍は、将来確実に来る米軍のアフガニスタン撤退後をも見据え、したたかに行動する。国内のタリバン掃討作戦では米国に協力する一方、アフガニスタン・タリバンへの水面下の援助を続けている。そこにはインド、イランへの対抗という意図がある。
 首都イスラマバードだけでなく、国内では、常にテロの危険と隣り合わせの状態が続いている。昨年八月に米軍に協力する形で、パキスタンの反政府勢力「パキスタン・タリバン運動(TTP)」の掃討に本格的に乗り出して以降、報復と思われる爆弾テロが定期的に起きる。三度の「攻撃」にさらされたマリオット・ホテルがさながら要塞のようになっていることがそのことの象徴だ。

インドとイランへの対抗


 しかし、米軍とパキスタン軍の作戦は確実に功を奏し、「パキスタン・タリバンの中心となって活動してきたTTPは確実に弱体化している」(イスラム研究家)とい・・・