「スマートグリッド」巡る覇権争いが激化
次世代電気自動車のカギ
2010年3月号
最初に火を付けたのが誰なのかは分からない。だが、小さな火に油を注ぎ、炎を燃え上がらせたのが、米オバマ政権のラフード運輸長官だったのは間違いない。二月三日、議会下院の運輸小委員会。ラフード長官は「リコールの対象車に乗っている人は、運転をやめるべきだ」と言い放った。標的はトヨタ自動車である。長官の異例の一言は、消費者のトヨタへの不信を爆発させるに十分だった。
「単なるトヨタ叩きと考えてはならない。リコール問題が急浮上した背景には、トヨタが頂点に立つハイブリッド技術への攻撃、そして次世代送電網(スマートグリッド)をめぐる覇権競争がある」。ワシントンの内情に詳しい米国人ロビイストは、こう解説する。
車のリコールが、なぜ電力のスマートグリッドに結びつくのか。「省エネ」というキーワードで眺めると、米国内でうごめく不穏な筋書きが見えてくる。
日本の技術を奪いにきた米国
「米産業界にはオバマ政権のグリーン・ニューディール政策をテコに、スマートグリッド技術で国際標準・・・