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「役人天国」の事業仕分けを恐れ 厚労官僚がアンケートの隠蔽を画策

2010年2月号公開

 


 薬害肝炎再発防止のために設置されたはずの「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」が有名無実化する中、業を煮やした薬害被害者たちが要請して同委員会が実施した独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)の職員に対するアンケート調査が波紋を呼んでいる。その結果が「PMDAは本省の植民地」「厚労省から出向で来ている人に問題が多い」「上司としてマネジメント能力がない」など厚生労働省の官僚にとって辛辣極まるものだったからだ。危機感を抱いた厚労省は委員会に参加する御用学者に個人情報保護を主張させ、アンケート結果を公開しないよう圧力をかけているという。

 PMDAは約五百人の職員のうち二割が現役官僚の出向組。幹部に限れば四十一人中三十三人を占める。医学・薬学の素人が専門のプロパー職員を支配するいびつな構図となっている。折しも四月からは独立行政法人の事業仕分けが始まる。そんなタイミングでPMDAの「実情」が明らかになっては役人天国を失うことになりかねないと、アンケート結果の隠蔽に全力を注ぐありさまだ。

 この隠蔽体質こそが、まさしく薬害の元凶なのだが、厚労省につける「新薬」は未だ開発されないままのようである。


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