みずほに迫る「メガ転落」の危機
重すぎる自己資本の足枷
2010年2月号
三菱UFJ、三井住友という二つのメガバンクが巨額の公募増資に踏み切ったのは昨年暮れ以降のことだ。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)一兆三百億円、三井住友FG九千七百三十億円という規模は、過去にさかのぼっても、一件の公募増資額としてはきわめて大型と言える。
いずれも普通株式の発行であり、株式市場では発行株式総数の激増に伴う希薄化による株価下落も懸念されていた。その逆風を突いてまで増資に踏み切らざるを得なかったのは、バーゼルの銀行監督委員会が検討を続ける新たな国際自己資本比率規制、なかでも普通株式による巨額増資の対応を迫られたからにほかならない。
昨年十二月、バーゼルの同委員会は新規制の導入を「十年延期」するとメディアは報じて、金融関係者をほっとさせたが、これはやや勇み足だという。「バーゼル委員会の発表文をきちんと読むと、延期ではなく、今後は導入に向けた助走期間と位置づけられている」と外資系証券の銀行アナリストは指摘する。ましてや、いつ話が変わって前倒し的な導入となるかもしれないのがこの問題なのだ。三菱UFJ、三井住友が巨額増資を急いだ理由もここにあ・・・