苦境続く「鳩山銘柄」ブリヂストン
「打ち出の小槌」にも黄信号
2010年2月号
長年、「国際的優良企業」との評価を受けてきたブリヂストンが冴えない。昨年十二月三十日の大納会に一千六百四十円まで回復した株価は、今年に入り再び下がり始め、今では一千四百円台をさ迷う動きを見せている。市場関係者は二月十九日に公表される二〇一〇年十二月期業績予想などを見極めたいとの思いが強く、株価の反転材料も少ない。
〇六年三月の就任以来、社内外で「強気でならしてきた」荒川詔四社長もさすがに怪気炎を潜めている。民主党政権の誕生で「鳩山銘柄」と持ち上げられたのも束の間、その後はマイナス情報の処理に追われてきた。ケチの付き始めは毎年十月の恒例行事だった向こう五年間を見据えた中期経営計画の発表を取りやめたこと。〇八年秋の計画は三千億円近い大型投資を毎年継続する「拡大策」だったが、今回は「先行きが見通せない」として急遽、中止を決めた。
翌十一月二日にはフォーミュラ・ワン(F1)からの撤退を表明した。米グッドイヤー、仏ミシュランが相次いでF1から退いた後、同社は唯一のタイヤ供給メーカーとなっていたが、「ブリヂストンの世界的な認知度が高まってきた今、F1に参戦する理由が・・・