イランに「内部崩壊」の危機
止まらない改革運動
2010年2月号
一月中旬に訪れたテヘランは、「革命前夜」とも呼べる様相だった。改革派だけでなく、一般庶民の不満はピークに達している。国際的孤立が深まっているばかりでなく、内部崩壊すら起きかねない状況だ。二月十一日には革命記念日があり、アフマディネジャド大統領をはじめとする現指導者たちは正念場を迎える。
今回、アラブ首長国連邦のドバイからイランに入るとき、乗り合わせたエミレーツ航空機の中には欧米人ビジネスマンの姿はほとんどなかった。目についたのは、近年イランとの経済交流を進める中国人の姿のみ。テヘラン市内の一流ホテルのレストランで見かけたのはイラン人ばかりだった。
昨秋訪れた際、宿泊したホテルは主に欧州からの観光客でごったがえしていた。五月の大統領選後も散発的にデモは起きていたが、イランを訪れる外国人の数にはあまり影響がなかったのだ。
しかし最近では、宗教的行事、あるいは現体制を批判してきた聖職者が亡くなるなどの機会に触れて反政府デモや暴動が発生し、治安部隊との衝突の中で犠牲者も出ている。特に十二月のアシュラ(シーア派の殉教聖人を悼む宗教行事)の際に死者も出た・・・