英国で台頭著しい「極右政党」
怒れる「白人貧困層」が支持
2010年2月号
プア・ホワイト(貧しい白人)と呼べる階層が最近の英国には米国同様、確実に存在する。彼らの動向は二〇一〇年の英下院総選挙を揺さぶる伏兵になるだろう。この不満勢力を吸収する形で、極右政党・英国国民党(BNP)は初めて下院に議席を獲得する可能性がある。労働党と保守党による二大政党制を謳歌してきた英政界に波乱を呼ぶ小政党として、いまや注目の的になっている。
新年の一月中旬、BNPのニック・グリフィン党首の「問題発言」が英国の政界とマスコミをざわつかせた。ハイチ大地震の被災者援助をめぐるネットでの酷評だった。英労働党政府がハイチに総額六百万ポンド(約八億七千万円)の緊急支援をすることに、BNPはかみついた。「英国の厳冬で死者が出ているのに、ここではまったく援助がない。暴徒化する恩知らずの連中を支援するなんて、目立ちたがり屋のエリートの偽善だ」。労働党閣僚は国内での福祉活動強化を挙げ反論したが、プア・ホワイトの鬱憤をグリフィン党首は晴らす形になった。
不況下の失業増大が追い風に
英政府が〇九・・・