オバマが始めた「苦悩の中国叩き」
十一月中間選挙を見据え
2010年2月号
就任二年目を迎えたオバマ大統領を取り巻く情勢は、一年前と大きく異なる。支持率が五〇%を割り込み、失業率は一〇%を上回るという状況の中で政権は苦しむ。追い打ちをかけたのは一月十九日のマサチューセッツ州上院補欠選挙。民主党の「指定席」での敗北は政権に重大なダメージを与えた。このような逆境の中で、オバマ政権は十一月の中間選挙を睨み、昨年末ごろから「中国叩き」に傾斜し始めた。ただし、それはかつての「日本叩き」とは異なった、「苦悩のバッシング」だ。
有権者の声を無視できず
一月二十二日にオハイオ州で、オバマ大統領は選挙戦さながらの演説を行った。オハイオ州は言わずと知れた製造業の州であり、オバマ大統領が演説を行ったエリリアは、最も深刻な経済状況に置かれているデトロイトの北に位置する。大統領は銀行規制、医療保険制度改革などを訴え、演説の中で“戦う”という言葉を二十回も使うなど極めて強い姿勢を示した。
だが聴衆の一人は「自分たちに必要なのは製造業の雇用を米国に呼び戻すこと・・・