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連載

不運の名選手たち 新連載

藤田俊哉(サッカー)ワールドカップ「落選」四たび
中村 計

2010年1月号

 ある種、人間の根源的な問いだ。
「一万円あったとして、それを多いと感じるか、少ないと感じるか」
 サッカーJ2に所属するロアッソ熊本のミッドフィルダー、藤田俊哉が言う。J2とはJリーグの下部組織のことだ。
「僕はそれで十分と思える人間。思えない人間は百億あっても少ないって思うんじゃないかな」
 ひとまず、藤田とはそういう男だ。
 誇張ではなく、数百回は聞かれたことだろう。なぜ、日本代表のレギュラーになれなかったと思うか――。
「何かが足りなかったということでしかないでしょう」
 数多いるサッカー選手の中でも、クラブチームにおける実績と代表の実績にこれほどギャップがある選手も珍しい。
 サッカー王国、静岡出身の藤田は、清水商、筑波大で日本一を経験し、一九九四年、ジュビロ磐田に入団。一年目から主力となり、司令塔として磐田の黄金期を築いた。二〇〇一年にはMVPにも選出されている。さらに〇七年には中盤というポジションでありながらリーグ通算百得点をマーク。フォワード以外で達成したのは現在も藤田だけだ。また同年、リー・・・