築地で横行する「疑惑取引」
魚食文化が破壊される
2010年1月号
「先取り」と呼ばれる不明朗な取引が築地市場で横行していると聞き、昨年末に現場を見た。
「卸売市場法」に基づき、都条例では市場での取引開始前に魚を買い付け、持ち出す「先取り」行為を禁じている。養殖魚の取引は午前零時から、鮮魚は午前一時からなどと決められている。これは、市場に入荷したものを仲卸や売買参加権を持った業者が公正に競争し、「市場価格」を形成するためのルールだ。
午後十一時、築地市場の通称「茶屋」と呼ばれる買荷保管所に着くと、すぐに十トンは積める大型トラックが三台出発していった。茶屋の机上には「西友予定表」と題されたシートが残されていた。それには、スーパー西友の三郷、昭島、川越の配送センターに真イワシ、サバ、アジなど運ぶ品目と数量などが記されていた。「出発二三時厳守」ともある。これは明白な「先取り」ではないのか。
スーパーがなし崩しにした規制
また、茶屋にはすでにいくつもの発泡スチロール入りの魚が積まれていた。「ジャスコ マリンピア店 背黒いわし 三キロ 産地千葉 納・・・