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社会・文化

「農協」を追い詰める民主党

「戸別所得補償」も所詮選挙の道具

2010年1月号

「えっ? キャンセル?」―農林水産省からの連絡を受けた全国農業協同組合中央会(JA全中)の幹部は耳を疑った。JA全中は、鳩山政権発足後、農政の展開をすり合わせるため、副大臣以下政務三役との面談を申し入れていた。十月二十日に一旦セットされたが、二時間前に突然取り消しになったのだ。「ドタキャン」の理由の説明もなく、三役との面談は十二月半ばに入っても実現していない。
 かつての自民党政権下では、JA幹部の農水省の出入りは自由だったが、今や面談の約束さえ取り付けられない。「生産者団体が政策面で意見交換ができないことは異常」(JA全中幹部)と危機感を募らせる。
 十二月十七日には、東京都内のホテルでJA全中の宮田勇元会長の祝賀会が盛大に開かれた。宮田元会長は秋の叙勲で旭日重光章(旧勲二等)を受章、かつての常識ならば、与野党国会議員や農水省幹部が続々と駆けつけたはずだが、宮田元会長と同じ北海道出身の自民党議員らが祝辞を述べただけで、鳩山政権とJAとの溝は深まるばかりだ。
 自民党政権及び農水省官僚と強固な「鉄のトライアングル」を組み、農政を動かしてきたJA全中は・・・