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経済

「新生・あおぞら統合」に金融庁の横やり

メガまで広がる公的資金注入の深謀遠慮

2010年1月号

 最近の株式市場において、にわかに話題になりかけている銘柄がある。新生銀行とあおぞら銀行だ。両行が今年十月をメドに合併することを発表したのは二〇〇九年七月一日のことだったが、それから約五カ月後の十一月二十日、金融庁はこの二つの銀行への同時検査に着手した。合併予定の二つの銀行への同時検査は過去にほとんど例がない。いわば、異例の検査なのだ。
 そんな両銀行が株式市場で話題になっているのは、検査開始以後、株価が奇妙な動きを続けているからにほかならない。従来、あおぞらの株価よりも一貫して高かった新生の株価が、ときとして、あおぞらに抜かれるという逆転場面がしばしば見られるようになった。これについて、外資系投資銀行の幹部はこう説明する。
「あおぞら株が堅調というわけではなく、新生株が不安定化しているのだ。新生が増資に動いたことも無縁ではないが、むしろ、材料化しているのは金融庁の検査だ」
 なぜ、同時検査であるにもかかわらず、新生銀行の株価だけが不安定化しているのか。これには同時検査に踏み切った金融庁の狙いが深く関係している。
 今回の同時検査の狙いを大・・・