《企業研究》 サムスン電子
日本に仕掛ける「焦土作戦」
2010年1月号
「またしても日本製の半導体が入っていない。今回もすべてサムスン製じゃないか!」
昨年二月に発売されたアマゾンの電子書籍リーダー「キンドル2」を分解した日本の半導体メーカーのエンジニアは落胆の声を上げた。近年のデジタル家電製品で数少ないメガヒットとなった米アップル社の携帯音楽プレーヤー「iPod」から日本製半導体が消え、国内業界に衝撃を与えたのが二〇〇二年。これに続き、昨年ヒットした「キンドル2」でもまた、日本製半導体が使われていなかったのだ。代わりにプロセッサーやメモリーなどの主要半導体部品は韓国サムスン電子製の半導体で占められていた。
昨今、日本のエレクトロニクス産業が世界市場で競争力を失い、「一人負け」の様相となっている。それとは対照的に、韓国企業、特にサムスン電子の「強さ」がまた一段と注目を集めている。昨年十月末に発表されたサムスンの〇九年第3四半期決算は、業績不振に苦しむ日本勢をよそに、営業利益を前年同期比約三倍に膨らまし、三千億円台に乗せた。決算内容を信じる限り、サムスンはウォン安などを逆手にとって最大限に輸出を伸ばし、事業基盤の安定と市況回復を・・・