トヨタに「国内でも」欠陥疑惑
問われる「安全」への哲学
2010年1月号
二〇〇九年八月二十八日、米国カリフォルニア州でトヨタ自動車の高級車「レクサスES350」が暴走して四人が死亡した事故が起きた。フロアマットがアクセルペダルに引っ掛かってペダルが戻らず、そしてブレーキを踏んでも利かずに激突した事故だ。
トヨタは十一月二十五日、ペダルの形状を改良するなどのリコールを行うと発表。対象車種は「レクサスES350」のほか、ハイブリッド車「プリウス」や主力セダン「カムリ」など七車種約四百二十六万台になる。
このリコールに至るまでトヨタと監督官庁である米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)との間では相当な「摩擦」があった。トヨタはお客のフロアマットの敷き方が悪かったために事故が起きたと主張したのに対し、NHTSAはアクセルペダルの形状や、電子制御など車体構造に欠陥があると指摘して調査に乗り出した。
アクセルペダルが踏み込んだままになっていても、ブレーキを踏めば優先して機能する安全設計が欠落していたことをNHTSAは重視していたと見られる。
そしてNHTSAが調査中であるにもかかわらず、トヨタは十一月二日、「車・・・