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政治

《罪深きはこの官僚》上田博三(厚生労働省健康局長) 新連載

インフル対策の司令塔

2010年1月号

 厚労省健康局長の上田博三と民主党が戦っている。彼は、新型インフルエンザ対策の司令塔。水際での効果のなかった検疫、人権侵害の疑いもある強制入院、ワクチン不足など次々と問題を引き起こした張本人だ。その無能ぶりは様々なメディアで取り上げられ、一躍、霞が関の有名官僚となった。

 それでも、上田はめげない。政権交代で厚労省に登場した民主党の足立信也政務官と暗闘を繰り広げているのだ。

 上田は愚直な戦法をとった。貝になったのだ。局長室から一歩も出ない「サボタージュ作戦」である。上司である足立への報告・説明には、部下の課長を派遣する。以前は引き受けていたメディア取材も断っている。インフルエンザワクチンに関する検討会など、どうしても出席せざるを得ない会議でも、ダンマリを決め込んでいる。こんな局長は前代未聞だ。

 足立は、上田にとって目の上のたんこぶ。灘高・阪大医学部出身の上田は、医師免許こそあれど、ペーパードクターの医系技官。一方、足立は筑波大学助教授まで務めた元外科医。医師としての見識で、上田は足元にも及ばない。医療は文系の政治家・・・・