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政治

「公務員制度改革」は必ず失敗する

民主と労組の結託で「役人天国」に逆戻り

2010年1月号

「事業仕分け」では予算を個々に洗い出すことで、「隠れ天下り」の実態や公益法人の余剰金があぶり出され、国民の熱い視線を集めた。こうした個々の公務員利権にメスが入ることは重要なことだが、改革の要諦は補助金などの権限を握り、天下りをはじめとした利権をむさぼる国家公務員の制度改革にこそある。国家権力の行使のあり方を規定するこの制度改革だが、ここにきて鳩山内閣は早くも馬脚を現し、「労組寄り」の改革姿勢がにわかに表面化している。
 決定的だったのは、鳩山内閣が二〇〇九年十二月二日、「政府・連合トップ会談」と銘打って日本労働組合総連合会(連合=組合員数約六百七十六万人)と政権発足後初の会談を行い、首相自ら連合の政策提言の実現に向け「全力で努力する」と言明したことだ。公務員制度改革については、公務員に労働基本権(団結権、団体交渉権、スト権)を与え、「民間と同様、労使交渉によって給与を決定する仕組みを作る」と明記した民主党のマニフェスト通りに行うことを事実上、確約したものだ。国民目線の改革が放棄され、政府と労組との結託が堂々と宣言された瞬間だった。
 鳩山内閣の閣僚十八人中、七・・・