アフガン米軍は「必敗」の情勢
行き詰まる「テロとの戦い」
2010年1月号
アフガニスタンの国際治安支援部隊を指揮するマクリスタル将軍は、増派が決まった三万人の兵士を加えて、ついに十万の大部隊を統率することになった。将軍は、雪解けが始まる春を前に、早々と米軍主導によるタリバン掃討作戦に打って出るつもりだ。作戦は、残り一年半、実質的には一年以内に成功させるよう大統領から命じられている。「期限付き」、「必勝」の戦いである。
しかし過去八年もの駐留でアフガンの治安維持に失敗し、タリバンの復活を許した不名誉な経緯を見れば、いかに優秀な司令官とはいえ「魔法の戦術」を生み出すことは不可能だ。当然、オバマ大統領やゲーツ国防長官も「絶対に勝つ」と信じたわけではないだろう。むしろ「将軍に賭ける以外に、適切な指揮官が見つからなかった」というのが正しいだろう。この戦いは、まさに「賭け」なのだ。
市街戦で修羅場に
現地の西側外交筋によると、勝敗の分かれ目は、タリバンの根拠地、南部最大の都市カンダハールを、タリバンから奪還する作戦にあるという。だが市街戦は避けられず・・・