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WORLD

対米「強硬姿勢」強めるロシア

「ポストSTART1」交渉の裏側

2010年1月号

「第一次戦略兵器削減条約(START1)はとにかく一旦失効させてやる」(ロシア軍関係者)
 米露はSTART1が失効する昨年十二月五日までに、後継の新条約に合意すべくジュネーブで外交交渉を重ねてきた。
 しかしながら、ロシア側は、最後まで強気の交渉姿勢を崩さず、ついに同条約は効力を停止した。その主眼は、新条約の内容云々はともかくとして、冒頭の発言にすべてが集約されている。
「核弾頭、運搬手段の数、査察・検証手段など全てにおいてロシアは譲歩しなかった」(ロシア安全保障専門家)
 失効前に新条約締結を目指していた米国交渉団を率いるガテマラー国務次官補は、交渉相手であるアントノフ安全保障・軍縮局長のタフ・ネゴシエーターぶりに舌を巻いたとされる。
 同条約の失効日である十二月五日、ロシア中部のボトキンスク・ミサイル製造工場に常駐していた米国の監視団が国外退去を余儀なくされた。START1では、米国に対してのみ、ロシアのミサイル工場における常時監視を認めていた。ロシアからすれば、こうした不平等条約を失効させて、米国監視団を国外追放することが・・・