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WORLD

イエメンで困窮する米国

テロリストの新たな巣窟

2010年2月号特別リポート

 米国内の民主党による共和党批判に悪乗りして、というよりも無知からブッシュ政権のアフガニスタン、次いでイラク攻撃を怪しからんと騒いできた日本の大方のメディアにとっては、『忘れたころにまたテロ未遂事件が発生したか』程度の受け取り方だっただろう。確かに事件そのものは、昨年十二月二十五日に二百七十八人を乗せたノースウエスト機で爆発物に火をつけようとした犯人が乗客に取り押さえられたとの単純なストーリーだ。だが、犯人のナイジェリア人の若者は十月頃までイエメンで訓練を受け、その一カ月後にテキサス州の陸軍基地で発生した銃乱射事件、さらに八月に発生したサウジアラビアの王子暗殺未遂事件などが地下でつながっているとなると、ことは重大だ。
 テロを仕掛けているのは「アラビア半島のアルカーイダ」(AQAP)で、指導者は首領オサマ・ビンラディンの元秘書、キューバ・グアンタナモ米軍基地のテロ容疑者収容所から二〇〇七年にサウジアラビアに送還されたあとイエメン入りした。アルカーイダのイエメン基地の浮上は二十一世紀の戦略の海インド洋にかかわり、アフガニスタン、パキスタン、イエメン、さらにソマリアにかけて・・・