三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

経済

民放テレビは「お取り潰し」の瀬戸際

砂川 浩慶 (立教大学社会学部長)

2025年4月号

 ―一連の「フジテレビ問題」をどうご覧になっていますか。

 砂川 民間放送の広告に頼るビジネスモデルの脆弱性が今回の件でよくわかった。スポンサーの向こうには消費者・視聴者がいて、なによりも「信頼」が大事であるという至極当然のことが改めて浮き彫りになった。フジは信頼を取り戻す必要があるが、第三者委員会の報告が期待外れだったり、経営陣がこれまでの悪弊を断てなかったりすれば回復は容易ではないだろう。フジテレビ問題後に各局が行った「調査」についても、下請けの制作会社などを対象から外した杜撰なものばかり。とても真摯とは言えず、このまま放送業界が沈没しても不思議ではない。

 ―フジだけでなく民放業界全体が広告収入の頭打ちに直面しています。

 砂川 インターネットとSNSの勢いに押されている今は、テレビ放送がスタートして70年のうちで最大の危機に直面している。視聴者の支持がなければ、「テレビはなくなっていい」という方向に流れかねない。放送業界の人間が自分たちで地道に視聴者の信頼を勝ち得なければ、あるとき政治が「テレビはお取り潰しだ」と・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます