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社会・文化

「生成AI」日本が弱い理由

異能の「革新者」を排除する国柄

2025年4月号

「アルトマンがほしいのはデータとカネだ。宿敵マスクに負けないために……」
 2月3日、米オープンAIのCEO、サム・アルトマンが首相・石破茂と面談した際、ある政府関係者はこう喝破していた。面談はソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義が仲介し、生成AIの日米協力について意見交換が行われた。が、アルトマンが官邸を訪れたのはこれが初めてではない。
 2023年4月の来日時には当時の首相・岸田文雄に対し、「日本政府のインターネット非公開のデータがほしい」と密かに要請していたのだ。各省庁の統計や国会図書館資料の提供だが、無論、そんなことはできない。岸田はやんわり断った。
 それから2年足らずの同日、アルトマンは孫と連携し、企業に特化した最先端AIを開発する合弁会社の設立を発表したのである。企業が保有するあらゆるデータをAIに機械学習させ、経営支援に役立てる触れ込みだ。孫は500社超の日本企業に参加を呼び掛け、「まず1業種1社に絞って展開する」と言う。
 アルトマンはつまり、日本政府には袖にされたものの、ほぼ対価なく日本企業のデー・・・

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