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社会・文化

「鉄道模型」の 小さく深い世界

国内愛好家を悩ます「二極化」

2025年4月号

 2025年は世界最初の旅客鉄道の営業開始から200年、22年には日本でも新橋〜横浜間の鉄道開業から150年を迎えた。1月29日にJR東海の新幹線点検用車両、通称ドクターイエローが引退し、3月15日のダイヤ改正ではJR北海道のキハ40が函館本線等での通常の営業運行から姿を消した。
 およそ鉄道というものは国を問わず、子供から大人まで魅了してやまない。鉄道愛好家、いわゆる鉄オタには様々なジャンルがあるが、模型愛好家は他とちょっと違うところがある。いわゆる乗り鉄、音鉄、データ鉄は現実の鉄道を愛する。
 それに対し模型愛好家は、縮尺された線路の上を走らせながら、現実と模型の世界、換言すれば想像あるいは妄想の世界を行き来する。しかも鉄道模型に限らず、ラジコンなど動く模型を好む人は自ら組み立て、動力系や電気配線などを工作するほど手先が器用である。
 模型は、小さな世界の中に時空を超えた空間を再現できるとともに、今では失われた様々な車両の細部を手にとって堪能できる楽しみがある。その鉄道模型の世界が、国内では次第に二極化し始めている。

「デジタル化」への対応・・・

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