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社会・文化

「財務省解体デモ」は どこへ向かう

異様な熱気の根源と限界

2025年4月号

「財務省解体」を叫ぶデモが各地で起きている。東京・霞が関の本省以外に、地方財務局の前にも数百人、多い時は千人規模の人々が集まり、プラカードを掲げ、マイクで声を上げる。「増税するな」「消費税反対」といった定番に加え、「お前ら月6万円で暮らしてみろよ」などと荒い口調でののしる人もいて熱気は高い。ごく善良そうな老若男女たちで、皆ひどく怒っているのが特徴だ。一部のテレビが報じても、新聞は大半が黙殺しているためか、まだ広くは知られていないが、収まる気配はなく、参院選にも少なからず影響するのは間違いない。
 発端は、昨年の衆院選で国民民主党を躍進させた「所得課税の最低ライン年収103万円の壁引き上げ」の公約である。選挙で支持したのはアルバイトやパートで「壁」を実感している若者・現役世代が中心だったが、2025年度予算編成・税制改正論議の焦点となって、中高年層に賛同者が拡大した。
 財務省は「課税ラインを国民民主公約の178万円に上げるには7兆円の財源が必要」との試算を公表したり、「配偶者特別控除の導入と改正で『壁』はもうない」などと抵抗。引き上げが避けられなくなると、123万円・・・

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