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経済

トヨタ下請け「事故続発」は必然

グループを蝕む「危機管理不全」

2025年4月号

「一体、何をやっているんだ」。トヨタ自動車系で車用バネを手掛ける中央発條が3月6日に起こした爆発事故に、トヨタから強い批判の声が上がっている。中央発條の社長を務める小出健太氏に対しては「さすがに引責辞任もやむなしといったところだろう」という声がデンソー関係者からも漏れてくる。自動車メーカー各社の車両組み立て工場を最悪の事態に陥れているからだ。
 中央発條が生産するバネ部品の供給が止まり、トヨタと豊田自動織機(トヨタ車を造る工場)、ダイハツ工業、スズキは工場の生産を止めた。その後、中央発條が他の工場の生産ラインを使ったバックアップ生産を始めたことにより、トヨタと豊田自動織機の工場は生産を再開した。ところが、3週間近くが経ってもダイハツ工業とスズキの工場は一時稼働にとどまっている。
 トヨタとダイハツ工業は、認証不正の影響で2024年度上半期の自動車の生産台数を減らした。その分を取り返すべく、下半期には増産体制を敷いている。その計画が、バネ部品一つで頓挫しそうなのだ。
 車両組み立て工場は部品が一つでも欠品すれば、稼働が止まる。特に、トヨタグループは無駄を省く・・・

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