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経済

信用金庫「大量死」が始まる

「金利ある世界」で苦境鮮明に

2025年4月号

 信用金庫業界の変調が一層顕著だ。日銀の政策変更で金利が復活して一挙に預金獲得競争が激化。金利を引き上げたメガバンクやネット銀行などに顧客を奪われ、預金の流出が現実化している。さらに、人材が寄り付かず「採用内定者全員辞退」の事態も。経営規模の拡大が必須なのに、いったん公表した合併から「逃走」する珍事さえ起きている。
 昨年末に関係者を絶句させたのが東京都内信金の雄、朝日信用金庫の預金残高の減少だった。東京東部を中核エリアとして千葉、埼玉まで店舗展開する大手信金。堅実経営や協同組織理念の堅持などで協同組織金融機関を代表するような存在だ。「中核エリアではメガバンクですら太刀打ちできない」(大手銀行幹部)と言われてきた。
 この実力派信金の昨年9月末の預金残高は、約2兆1627億円。信金としては大規模だが、前年同期に比べると、約2470億円預金残高が減った。年率に直すと、実に10%超の減少だ。「平時の環境では過去にはありえなかったほどの減少率の高さ」と都内信金関係者は言う。
 これまで信金業界に限らず地域金融機関は貸出が伸びずに苦戦してきたが、預金残高は安定して・・・

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