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経済

《クローズ・アップ》伊藤 順朗(セブン&アイHD副社長)

巨額MBOを頓挫させた「御曹司」

2025年4月号

「これは風説の流布で罪に問われないのか」。セブン&アイ・ホールディングスのある株主は憤る。批判の矛先は伊藤順朗副社長だ。
 カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)から同意なき買収提案を受けて大騒動となっているセブン&アイ。その対抗策として創業家でもある伊藤副社長が主導したMBO(経営陣が参加する買収)は、資金繰りがつかずとうとう断念に追い込まれた。それを受けてセブン&アイの株価は急落、TOB(株式公開買い付け)のプレミアムを期待して株を買い上げていた株主は梯子を外された。
 前出の株主は「資金が集められないことなんて元からわかっていたはず。MBO期待で株価が高くなればACTに買収を諦めさせることができるから、できないと半ばわかりながらMBO期待を煽ったに違いない」と怒り心頭だ。
 8兆円とも9兆円とも言われた巨額MBOの資金集めだが、ファイナンシャル・アドバイザーを務めたSMBC日興証券関係者は「確かに巨額だが、集められる可能性は十分あった」と振り返る。創業家陣営の中では「足りなかったのはお金ではなく、旗振り役の伊藤副社長の情熱だ」というのがもっ・・・

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