三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

WORLD

インドを悩ます「四面楚歌」

近隣諸国の憎悪と中国の計略

2025年4月号

 インドが南アジアで孤立している。2024年政変が起きた隣国バングラデシュとの関係は悪化の一途。近隣には次々と親中派政権が誕生し、親インド派はブータンを残すばかりだ。ナレンドラ・モディ政権は「近隣ファースト主義」を掲げてきたが何の成果もあげておらず「地域覇権」は瓦解寸前だ。間隙を縫ってパキスタン、そして背後にいる中国がじわりと影響力を増している。
 モディは14年、自らの首相就任式にパキスタンを含む南アジア各国の首脳を招いた。インドの外交は「したたかな全方位戦略」などと褒めそやされることが多いが、バングラデシュの政変後、状況は一変した。
 バングラで24年8月5日、学生デモ隊が首相官邸を包囲し、シェイク・ハシナ首相(当時)は辞任してインドへ逃亡。15年に及ぶ長期政権が崩壊した。原因は、1971年の独立戦争で戦った「フリーダム・ファイター」の子孫を優遇する公務員職の特別枠制度に反対する大規模な学生抗議デモが激化し、暴動鎮圧で多くの死者を出すまでに至ったことにある。この制度は常に議論の的となってきたが、政府の強権ぶりに対する国民の怒りが根底にあった。
 その後・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます