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欧州「再軍備計画」は実現するか

仏主導「脱米国」で深まる分断

2025年4月号

 欧州は1991年のソ連崩壊以来の軍拡に転じる。ゼレンスキー大統領との「口論」から、トランプ大統領が米国のウクライナ支援の一時停止を表明し、欧州で自衛への備えが加速した。欧州連合(EU)は最大8千億ユーロ(約127兆円)の防衛費増額を見込む「再軍備計画」に乗り出す。安全保障上の米国の後ろ盾が不確実になる中、自衛力を強化して脱・米国依存を図る。
「4億5千万人のEU市民が3億4千万人のアメリカ人に頼る必要はない」
 再軍備計画の発表にあたり、リトアニアの元首相でEUの防衛担当大臣にあたるクビリウス氏は述べた。
 だが、4億5千万人のEU市民を代表する一つの軍は持たない。冷戦終結以来、欧州の防衛産業は技術と産業基盤を維持することが目的で、各国の防衛費は予算の調整弁的な役割を引き受けてきた。そのため多様な兵器が存在し、相互運用性を阻んでいる。戦闘機は仏のラファール、英独伊西(スペイン)のユーロファイター、スウェーデンのグリペンなどがあり、さらに搭載するエンジンでも各社が競い合う。大砲は、数十種類の仕様が異なる155㎜砲が存在し、EU各国の備蓄から供給を受けたウク・・・

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