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経済

《地方金融の研究》福島県商工信用組合

須佐一族「一強」でモラル崩壊

2025年4月号

 地元企業の評判は悪くない。「融通が利き多少の無理も聞いてくれる重宝な存在」。本店のある郡山市内の取引先幹部の1人はこう漏らす。だが融通無碍も度が過ぎると理非曲直を見誤まる。
 福島県商工信用組合で3月7日、前代未聞ともいえる不祥事が発覚した。2008年から24年にかけての16年間、職員が預金を着服するなど10件の不正行為が見つかり、計77人の顧客が総額1億1247万円の被害を受けていたことが判明したというものだ。
 中でも「悪質性が高い」(信組業界関係者)とされているのが、須賀川支店に勤務していた20歳代男性職員が10~14年に引き起こした事案。定期預金の解約金を着服していたばかりか、出資法で禁止されている「浮貸し」にまで手を染め、挙げ句、口座を不正に開設。その口座に融資を実行したり、不正で貯め込んだ資金を正規口座に移し替えるなどしていた。被害金額は9523万3048円にのぼる。
 とはいえ同事案を除けば残りは小粒だ。本店営業部勤務の20歳代男性職員による5850円の「不適切な現金預かり管理」といった案件も含まれる。“微罪”といっ・・・

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