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経済

沈む「トランプ相場」のこの先

マネーの「世界的迷走」に要注意

2025年4月号

「米国例外主義」。昔からある言葉だが、AI(人工知能)などテクノロジー分野での優位性で米国株式市場の強さが続く理由として昨年半ばくらいから頻繁に使われるようになった。世界株指数時価総額の3分の2が米国株で、米国以外は「その他」として一括りに軽視される構図が明確化していた。だが皮肉にもトランプ政権の「米国第一主義」の登場と共に米国の例外的好況は、終わりを迎えたようだ。
 米国株は2月をピークに調整し、多くの指数や先導株が200日移動平均線を割る展開となった。通常パターンは米国株が下落すれば世界の株価が下がるが、今回は欧州や新興国などが底堅く推移した。
 何かの危機や流動性のショックは起こっていない。資金の流れが変わったのだ。
 トランプ政権発足、中国AI(ディープシーク)台頭、日本の長期金利急騰などが同時に起こり、大型、グロース、AI、モメンタムという要素が崩壊。米国偏重の株価バリュエーションの調整が起きた。
「世界株安でないなら安心していい」ということではない。このような米国外への資金の流れ方は米国景気後退前に起こりやすい。その後の動きにも注意が・・・

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